砥石を料理道具に例えるなら、『おろし金』でしょうか。
大根やワサビなんかを すりおろす あれです。おろし金の凸凹の大きさや数で 舌触りや香りが変わるように、砥石も砥粒の大きさで仕事のしようが違ってきます。(おろし金は、削り落とした物、砥石は削られた物が大事なんですが・・・。)

同じ量だけ削るとすると、砥粒が大きければ 削る時間は短く、細かくなれば 長くかかります。削られた表面は、大きな粒ではザラザラで、細かい粒ほどスベスベに仕上がります。

さて、この粒の大きさの事を 砥粒の『粒度』と呼び『#**番』と表し『粒度番号』と言います。 「砥石ちょうだ~い(下さい)。」「何番の砥石ですかぁ」とまあ 砥石屋での会話はこんな具合です。(もちろん サイズや硬度、砥材の種類も付け加えますが)
この番号は、『篩』(ふるい)の目の数を表しているんですよ。お菓子作りやガーデニングで使う、円や四角い枠に網を張った道具がありますよねぇ。数字は、1インチ(25.4mm)の中に幾つ目があるかを意味し、「36番なら、インチ当たり35マスの目が開いてマス。」
36番の篩いを通過し、46番は通過しない砥粒の集まりが #36の砥粒です。(砥粒には細長い物もあるので、これより粗い粒や細かい粒もいくらか混ざっています。)

粒度番号は、数字が大きくなるほど砥粒が細かくなります。
#8~#220番、を粗粒。この中を更に粗目、中目、細目と分けます。
#240~#800番、1000、2000、3000、それ以上、を微粉と呼び、同じく極細目、微粉と分けます。
先の36番は、だいたい0.7~0.35mmの目の開きを通る粒の集まりで、3000番は 0.005mm程度の平均粒径の粒子です。

篩で分けられるのは220番まで、それ以上は水や風の力を利用して分けます。例えば、砂場で砂を一握り手に取り、風にかざして少しずつ落とすとぉ・・・。

ついでに、砥石がおろし金なら 旋盤のバイトや穴あけのドリルは、包丁、鰹節削りでしょうか。砥石で加工する事を『研削加工』、バイトで加工するのを『切削加工』と言います。
加工物の材質によりますが、取り除かれた屑を見ると、切削加工では、りんごの皮や かつらむきの大根の様につながって出てきます。研削屑は細かく切れていますが、ルーペで見ると、やはりつながって見えます。(彫刻刀で短くえぐった感じかなぁ)